イグ・ノーベル賞2021

アメリカにて9月9日(日本時間10日)、イグ・ノーベル賞の受賞者が決まりました。今年も日本人の方が受賞していましたが、そもそもイグ・ノーベル賞ってどんな賞?って思う人もいます。何となく毎年発表されているのを見ていましたが、今回改めて調べてみました。

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イグ・ノーベル賞とは?

イグ・ノーベル賞に関してどんな賞なのか調べてみました。

イグ・ノーベル賞とは1991年にマークによって創設された「人々を笑わせ考えさせた業績」に与えられる賞のことで世界的に有名なノーベル賞に対して、否定を表す接頭辞的にlgを加えて、英語の形容詞 ignoble「恥ずべき、不名誉な、不誠実な」にかけた造語で、ノーベル賞のパロディーであるとされています。

毎年9月もしくは10月に「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」や風変わりな研究、社会的事件などを起こした10の個人やグループに対し、時には笑いと賞賛を、時には皮肉を込めて授与され、インパクトのある斬新な方法によって、脚光の当たりにくい分野の地道な研究に、一般の人々の注目を集めさせ、科学の面白さを再認識させてくれるという貢献に繋がっていると思われます。科学研究以外に、カラオケやたまごっち、バウリンガルといった商品の発明に対して賞が贈られる場合もありました。

賞が設立されて以来、日本は繰り返し受賞しており、イグ・ノーベル賞常連国になっています。今年の受賞を含めば15年連続受賞になりました。

過去の受賞に関して

そんなイグ・ノーベル賞なのですが、過去の受賞者の中で興味深い受賞作品いくつかピックアップしてみました。

  • 1991年 

生物学賞受賞者 ロバート・クラーク・グラハム 

受賞理由 ノーベル賞受賞者とオリンピック出場者からのみの提供を受け入れる精子バンク「胚選択のための倉庫」の先駆的な発展に対して。 

  • 1993年

心理学賞受賞者 ジョン・マック デイビッド・ジェイコブス

受賞理由 宇宙人によって誘拐されたと信じている人たちは、おそらく本当に誘拐されたのであろうという結論に達したこと、とりわけ「誘拐の焦点は子作りである」という結論に対して。

平和賞受賞者 フィリピン・ペプシコーラ・カンパニー

受賞理由 億万長者を生み出すコンテストのスポンサーとなって間違った当選番号を発表したため、興奮し集まった期待していた当選者80万人を暴徒のように駆り立てて集合させ、フィリピン史上最大の暴動を引き起こしたことに対して。

  • 1994年

昆虫学賞受賞者 ロバート・A・ロペズ

受賞理由 猫から採取した耳ダニを自分の耳に入れ、結果を丹念に観察・分析した一連の実験に対して。

  • 1998年

安全工学賞受賞者 トロイ・ハーツバイス

受賞理由 グリズリーに対しても動じないスーパースーツを開発し、個人的な試験を行ったことに対して。

  • 2001年

公衆衛生賞受賞者 チッタランジャン・アンドレイド B・S・スルハリ

受賞理由 「思春期の少年にとって、鼻をほじくることは普通の行動である」という医学的発見を突き止めたことに対して。

  • 2004年

公衆衛生賞受賞者 ジリアン・クラーク

受賞理由 床に落ちた食べ物を食べても安全かどうかについての「5秒ルール」の科学的妥当性の研究に対して。

  • 2006年

医学賞受賞者 フランシス・M・フェスミア

受賞理由 彼の医学事例に関する報告、『直腸に対する指を使ったマッサージによる、止まらないしゃっくりの停止』(1988年)に対して。

  • 2008年

栄養学賞受賞者 マッシミリアーノ・ザンピーニ チャールズ・スペンス

受賞理由 コンピュータで修正したポテトチップスの音を流すことにより、ポテトチップスを食べている人は自分の噛んでいるポテトチップスが実際以上にかりっとして新鮮であるように信じることを示したことに対して。

  • 2011年

科学賞受賞者 今井真、漆畑直樹、種村秀輝、田島幸信、後藤秀晃、溝口浩一郎、村上純一

受賞理由 火災など緊急時に眠っている人を起こすのに適切な空気中のわさびの濃度発見と、これを利用したわさび警報装置の開発に対して。

  • 2014年

物理学賞受賞者 馬渕清資、田中健誠、内島大地、酒井利奈

受賞理由 人間が床に置かれたバナナの皮を踏んでしまった際の、バナナの皮と靴の間の摩擦、およびバナナの皮と床の間の摩擦の大きさを計測したことに対して。

芸術賞受賞者 マリーナ・デ・トマソ ミケーレ・サルダロ パオロ・リヴレア

受賞理由 手に強力なレーザー光線を照射されると、醜い絵を見ていた人は可愛らしい絵を見ていた人よりも比較的強い痛みを感じたことを計測したことに対して。

  • 2018年

文学賞受賞者 シーア・ブラクラー ラファエル・ゴメス ヴェスナ・ポポヴィッチ M. Helen Thompson

受賞理由 複雑な製品を使う人のほとんどは、その取扱説明書を読まないということを記録したことについて。

  • 2020年

平和賞受賞者 インドとパキスタンの外交官

受賞理由 夜中にお互いピンポンダッシュしあったことに対して。

その他にも、多くの人が受賞しています。内容はとても面白く興味深いものが多いので、是非調べてみてください。

2021年受賞した、注目の日本人

そして、今年の受賞者が発表になり、日本人の方も受賞していました。果たしてどのような内容だったのか。

今回は動力学賞を、京都工芸繊維大の村上久助教ら日本の研究チームが受賞しました。内容は歩いている人がぶつかる仕組みを解析したもので、お互いの動きを予測することで人混みでもスムーズに移動していることを検証し、もし集団に「歩きスマホ」の人がいると、本人だけでなく周囲の人の予測にも影響を与え、全体のスピードが低下するとしています。

今っぽい研究内容ですよね。とても興味深い。

来年以降も注目

今年で15年連続日本人が受賞者の中に名前を連ねているこのイグ・ノーベル賞なので、少し気が早いですが来年も気になります。また、色々な研究テーマがあったりととても興味深い賞なので、気になるものは論文等読んでみたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。また、次の記事も読んでいただけると幸いです。