割り箸はエコなのか

昨今、環境問題のことなどが多く話題に上がる中、いまだに割り箸の需要が高いように感じます。使い捨ての手軽さや共有しない清潔さなどからいまだに、定食屋や居酒屋、町中華など多くの飲食店で見かけます。では、実際のところ割り箸はエコなのかどうか調べてみました。

森林の浪費?

兼ねてより、割り箸は「森林を浪費しているのではないか」という議論の的になっています。日本においても実は1960年代頃から度々「割り箸不要論」が取り沙汰されてきました。ですが、1980年頃には「割り箸は熱帯林を破壊している」という報道まで出ましたが、後に熱帯林の木はほとんど割り箸の製造に使われていないことが判明し、このニュースに関する議論は沈静化しています。環境問題のことが取り扱われることが多くなる前から実はこの「割り箸問題」は報道等で扱われる機会も多かったんです。このように、昔から割り箸には「森林破壊の原因」というイメージが定着していますが、実は日本国内において割り箸生産を主な目的とした大規模な森林伐採が行われることは、近年では滅多にないということが分かっています。ご存じでしたか?
というのも、現在国内で生産されている割り箸のほとんどは、端材または間伐材を活用して作られています。
端材とは木材として建築などに使う木の中心以外の部分のことで、間伐材とは森林の風通しを良くするために間伐(間引くこと)された木のことです。間伐は森林の荒廃を防ぐ重要な作業であるため、この点に関しては森林破壊を促進しているというよりも、むしろ森林保護の側面が強いと言えます。ただし、このことはあくまでも「日本国産」の割り箸における話です。現在日本国内で流通している割り箸のほとんどは、中国をはじめとした外国産になのです。外国産の割り箸は安価で輸入できるため、大量生産のために森林全体を伐採したり、その後再植林されないなどの問題点が指摘されています。また、外国産の割り箸が市場を占め過ぎたことによる国内林業の衰退も懸念されています。日本国内の生産状況と輸入による状況でここまで変わってくるので、果たして今後も使う方がいいのか、使用を減らしていく方がいいのか悩ましいところです。

日本での割り箸の消費量

昨今、コロナウイルスの感染症対策という意味でも飲食店での割り箸の活用が増えてきました。コンビニでお弁当などを買った際にお店で割り箸を受け取る人も多いのではないでしょうか。では、そんな日本における割り箸の消費量はどのくらいなのでしょうか。近年約250億膳で推移していましたが、2007年以降は減少傾向となり、現在はだいたい約200億膳(国民1人あたり年間約150膳)くらいとなっているそうです。減ったと言ってもこれほど消費しているのです。

捨てるのではなく、「リサイクル」する動きも

そんな割り箸ですが、環境問題の観点から割り箸を利用することに疑問の声がある一方で、日本の中では割り箸をめぐる様々な動きが出てきています。そのひとつは、使い終わった割り箸を捨てないで、紙やパーティクルボードにリサイクルする動きです。全国の自治体やNPO法人などでは割り箸を回収して、製紙原料としてリサイクルしてくれる製紙工場へ送る取り組みが広がっています。一つの例であったのが、青森市では、市の関係機関や市内のホテル・事業所、家庭から排出される使用済み割り箸を回収し、使用済み割り箸のリサイクルを行っているとのことでした。平成12年度から28年度までに約60トンの使用済み割り箸が回収され、製紙工場で新聞紙などの紙製品にリサイクルされたそうです。また、讃岐うどんの本場である香川県では、多くの割り箸が消費されることから、割り箸のリサイクルを推進しようと過去に「子ども割りばしサミット」というものが開催されたこともありました。割り箸を原料とした紙すきや絵手紙などの割り箸工作体験コーナーが設けられ、その参加料は使用済み割り箸6本ととてもユニークな企画でした。

まとめ

日本の国産材の割り箸を使うことは、資源を再利用・再活用するだけに留まらず、林業にかかわる人たちや日本の山に資金を還元し、それが日本の山の整備や活性化につながることが期待できます。一部のコンビニエンスストアや飲食店では、国産材の割り箸の提供を積極的に行っています。少し面倒かもしれませんが、国産の割り箸なら使い、海外製のものの使用は減らしていく。そして、使った後もリサイクルのことを考えてみる。こうやって少しずつ、身近なところから、環境に対する意識を変えていけたらいいのではないでしょうか。