シュレッダーにかけられたバンクシー作品は過去最高額を更新

2021年10月18日

イギリスの覆面ストリートアーティストのバンクシーをご存知でしょうか。彼の作品は建物の壁面や自作の物理的な小道具のような、公に見える表層に展示しています。名前を聞いてピンとこなくても、その作品、その絵を見れば知っている人も多いと思います。そんなバンクシーの作品が先日過去最高額で落札されました。私も彼のことは詳しく知らないので、よく知らないなと思う人は、バンクシーに関して調べてみたので、読んでもらえれば幸いです。

バンクシーって何者?

バンクシーは、壁にスプレーで絵を描くというゲリラ的なスタイルで作品を残し、スプレーグラフィティ文化をアートとして広めた神出鬼没のアーティストです。特徴としては、

 制作している姿を人に見せない

 人の前に一切姿を現さない

 本名を知る人はごく少数の彼の友人のみ

 社会風刺的な作品が多い

というのがあげられ、普通のアーティストとは一線を画し、今回のようなシュレッダーに作品をかけてしまったり、常に世界中の注目を集めています。日本でもバンクシーの作品に酷似した落書きが発見されるなど、過去に話題になったこともあります。

バンクシーの作品は、個人住宅の壁や公共の場に突然出現するため、その所有権がはっきりとしない場合が多く、壁の持ち主が落書きと勘違いして決してしまったり、壁ごと盗み取られたりする事も多々あるようです。作品のメッセージ性もさることながら、その設置場所や作品の行方、オークション、アート市場への皮肉など、彼の作品が引き起こすハプニングそのものが1つのドキュメンタリー的な要素を持って、世界に疑問を投げかけているイメージがあります。

バンクシーが起こしてきた数々のハプニング

バンクシーは今回のシュレッダーに自分の作品をかけ切り刻むといったイベント?行動?のように作品そのものが投げかけるメッセージとだけでなく、作品がどんな形で展示されるかも注目すべき点になります。バンクシーが色々なハプニングを仕掛けるたびに、世界中で話題になり、彼を追いかけるようになります。

2005年 ゲリラ展示

バンクシーが注目されるようになったきっかけの一つにこの2005年に行われた作品のゲリラ展示があります。世界中の有名美術館に自らの作品を無断で、無許可で展示するといったものでした。下記の美術館と作品になります。

MOMA 「Discount Soup Can」

メトロポリタン美術館 「You Have Beautiful Eyes」

アメリカ自然史博物館 「Withus Oragainstus」

ブルックリン美術館 「Soldier with Spray Can」

大映美術館 「Wall art」

それぞれの美術館の展示特徴を反映し擬態しながら「反戦」と「反資本主義」のメッセージを投げかけたとされています。どれも有名な作品なので、検索したらすぐに出てきます。

すごいところが、バンクシーの作品の完成度の高さが認められ、正式なコレクションに追加されてもいるということです。このゲリラ展示をきっかけに、アート市場で一気に注目されることになります。

2015年 「Dismaland(ディズマランド)」

2015年8月に、ディストピア版ディズ●ーランド「Dismaland(ディズマランド)」をイギリスの観光地ウェストン・スーパー・メア海岸で1カ月期間限定でオープンしました。

企画者であるバンクシーだけでなく、ダミアン・ハースト、ジェニー・ホルツァー、ジェフ・ギレットといった、世界50ヶ国以上の現代アーティストによる作品やパフォーマンスも展示され、世界中から彼のファンが詰め掛けました。来園者を迎えるのは「ボロボロのシンデレラ城」と「歪んでいるアリエル」だったり、ディズマランドの語源となっている「dismal」は、英語で「陰鬱・暗い」といった意味を指すことからか、従業員は全くやる気を感じなかったりとにかくすごいものになったということです。でもこの悪夢の遊園地は5週間の開催で計15万人を動員するとてつもないイベントとなりました。

2018年 シュレッダー事件「愛はゴミの中に」

今回話題になっている作品に関しても、とてつもないハプニングがありました。

2018年10月5日、ロンドンのオークションハウス「サザビーズ」でバンクシーの作品が落札された瞬間に、額に仕込まれたシュレッダーによってズタズタに切り刻まれるという事件が起きました。のちにyoutubeに投稿された動画には、作品の額にシュレッダーが仕込まれる瞬間も残されていました。この時落札されたのは、バンクシー作品の中でも特に人気の高い「Balloon Girl(風船と少女)」という作品でした。ぜひ、youtubeご覧ください。

この作品は、事前予想の3倍のなんと104万2000ポンド(約1億5500万円)、過去のバンクシー作品の最高落札額と並ぶ金額で落札されました。

落札が決まると同時に会場にアラーム音が響き渡り、額縁に仕込まれたシュレッダーが起動、作品の下半分が切り刻まれその場にいた人々はパニックに包まれました。

ものすごいイベントになりました。

そんなシュレッダーにかけられた作品が2021年10月14日ロンドンで競売にかけられバンクシー作品としては過去最高額の1858万ポンド(約29億円)で落札されました。落札額は3年前の競売から十数倍に膨れ上がりました。とてつもないですね。

バンクシー展開催

こんなバンクシーの作品を今、日本で見ることができます。

展覧会「バンクシーって誰?展」

会期:2021年8月21日(土)〜12月5日(日)

会場:寺田倉庫 G1ビル

開館時間:11:00〜20:00(金・土・祝前日は21:00まで)

となっています。その後、名古屋、大阪、郡山、高岡、福岡と日本全国で開催を予定しています。この機会にバンクシーの作品に触れてみるのおすすめします。

https://whoisbanksy.jp/
https://whoisbanksy.jp/