外資系アパレルブランドがまた一つ撤退。エディバウアーがなぜ?

コロナ禍で悲鳴をあげている業種の一つに「アパレル」業界があります。数年前から、外資系アパレルの撤退が何度かありましたが、先日「エディバウアー撤退」のニュースが掲載されていました。熱狂的なファンも多いブランドように思えますが、一体なぜ、このタイミングで撤退を決定したのでしょうか。調べてみました。

外資系アパレルブランドとは

外資系アパレルブランドとは、日本国内からではなく、海外発のアパレルブランドのことを指します。イタリアやフランス、アメリカなど、ファッションの先進国はなんとなく海外というイメージがあると思います。有名デザイナーやシーズンコレクションも海外の方が有名、そのため有名モデルも多いですよね。

しかし、「外資系」というのはあくまで海外発という定義であり、外資系アパレルブランドにも様々な特徴を持ったものがあります。大きく「ハイブランド」と「ファストファッションブランド」に分類することができるため、それぞれ特徴を見ていきましょう。

  • ハイブランド–外資系アパレル

「高級な」「高価な」といった意味を表す形容詞を関する事からも分かる通り、ハイブランドとはとは価格帯が高く、世間一般からも高級なブランドイメージを持たれているブランドのことを指します。

長い歴史や伝統を持つものが多く、中には王室御用達といった格式高い箔がついたブランドも少なくありません。量販店などで取り扱われることはなく、高級百貨店や直営店での販売が主になります。また、オーダーメイドやオートクチュールなどの取り扱いが多い傾向にあるのも特徴といえます。

代表的なハイブランドとしては以下の様なものが挙げられます。

・エルメス

・ルイ・ヴィトン

・シャネル

・グッチ

・イヴ・サンローラン

・セリーヌ

・プラダ

・クリスチャン・ディオール

みなさんも知っているブランド、名前を聞いたことあるブランドも多いのではないでしょうか。

  • ファストファッションブランド−外資系アパレル

ハイブランドとは対照的に、手軽かつ安価にファッションを楽しむことができるブランドがファストファッションブランドです。ファストファッションとは、トレンドを採り入れながらも短いサイクルで新作を大量に生産販売するファッションブランドや業態を意味します。

ここ最近は、路面店やモールへの出店も多く、主要な都市に行かずとも日常的に触れること、買える店も増えてきました。普段着としても使いやすい価格帯で、一度は着たことあるブランドも多いのではないでしょうか。

そんなファストファッションブランドの中でも、外資系としては次のようなものが代表的です。既に日本から撤退したブランドも含め記載させていただきました。

・GAP

・H&M

・FOREVER21

・ZARA

・TOPSHOP

・Abercrombie&Fitch

エディバウアーのこと

では今回、日本撤退を決めたエディバウアーはどんなブランドだったのか。

「エディー・バウアー(Eddie Bauer)」はアメリカのアウトドア・カジュアルファッションブランドで、「自らが作り、自らが試す」という信念のもとにこだわりの物づくりを追求しているブランドです。これまで、アメリカ初のダウンジャケット「スカイライナー」、K2アメリカ遠征隊に依頼されて完成した 「カラコラムパーカー」、アメリカ初のエベレスト登山に貢献した ダウンパーカーなど数々のアイテムを提供してきています。

日本での展開は、オットージャパンと米国エディー バウアー社の合弁で設立されたエディー バウアー ジャパンが行っていて、1994年、自由ヶ丘に第1号店をオープンしました。その後、2021年撤退前までに全国で56店舗も展開

創業は1920年と結構な老舗ブランドで、アメリカで初のダウンウエアを作り、「ダウンといえばエディバウアー」と言われるほどです。アウトドアブランドよりはカジュアルブランドの位置付けの方がしっくりくるように思えます。

撤退した外資系アパレルブランド

外資系ブランドの日本撤退は、2015年の「トップショップ」、2016年の「アメリカンアパレル」、2017年のギャップ傘下の「オールドネイビー」、コロナ前の2019年の「フォーエバー21(米国本社が破綻)」「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」などがよく知られているブランドかと思いますが、他にも、「J.クルー」や「リズクレイボーン」「ジグソー」、H&M傘下の「ウィークデイ」「モンキ」、「タルボット」「キャスキッドソン」などとても多くなってきています。外資系のアパレルブランドは、日本上陸からしばらくは集客の目玉になるのかもしれないが、全国の主要立地に一巡してしまえば販売効率も落ちてしまうのでしょう。店舗の規模感も大きく、集客ができないとなかなか継続していくのは厳しいのでしょう。

エディバウアーがなぜ撤退?

やはり大きいのは業績不振があるかと思います。ピークは2008年ごろで、売上高160億円前後、店舗数は60店舗超えとなり、100店舗・300億円を目指すと中期目標を掲げていたのだが、失速してしまいました。「東京商工リサーチ」によると、2017年2月期に売上高115億円に対してすでに当期損失が5800万円と赤字となっていたとのことです。2018年2月期は売上高130億円、当期利益1億5200万円の黒字、2019年2月期は売上高125億円、当期利益7600万円の黒字と少し持ち直したのですが、2020年2月期には売上高115億円に対して当期損失が5億5400万円と大幅赤字に転落しています。コロナ禍が続いた2021年2月期には売上高が90億円と前期比2割減となり、赤字幅はさらに広がったとみられます。

加えて、日米ともに不安定だった経営体制によるものも関係ありそうです。一部関係者によると、今回の日本撤退理由は「ドイツ本国からの資金援助が打ち切られたため」だと話しています。もともとエディー・バウアー・ジャパンは住商オットー(ドイツのカタログ通販大手オットー社が51%、住友商事が49%を出資する合弁会社)が70%、米国エディー・バウアー社30%の出資比率で1993年に設立されました。その後、2008年に住商オットーが合弁関係を解消し、独資本100%となったタイミングでオットージャパンに社名を変更。エディー・バウアー・ジャパンの70%の株式を持つのはオットージャパンという状況が10年以上続いてきました。そして、2020年7月にオットージャパンを有志がMBO(従業員による事業買収)し、8月13日にノース・モール(東京都中央区、前之園世紀代表取締役CEO)に社名を変更し、この時、「エディー・バウアー」の事業は残され、旧オットージャパンの完全親会社であるドイツのオットー・アジアが70%の株式を所有することになりました。

こういったいくつかのポイントが重なって、今回の撤退に至ったのではないかと言われています。

今後の外資系アパレルブランドの動向

このようにここ数年でいくつもの外資系ブランドが日本から撤退しています。2021年10月現在、緊急事態宣言は解除されたとはいえアパレル業界の厳しい現状はあまり変わらないのではないかと思います。そんな中で生き残るブランド、また、これから台頭してくるブランドもあると思います。今後も注目していきたいコンテンツだと思います。