人気漫画『HUNTER×HUNTER』再開

2022年10月24日人気漫画『HUNTER×HUNTER』の連載が再開されました。約4年の休載、待ちに待ったファンも少なく無いと思います。なぜこんなにも人気が高い漫画なのか、長い間休載されていたにも関わらず、終わらせることなく休載が認められているのか、この作品を読んだことがない人もこれだけでも興味が湧くのではないでしょうか。

『HUNTER×HUNTER』の面白さ、冨樫義博先生の凄さをここで改めて掘り下げてみたいと思います。

『HUNTER×HUNTER』概要

では最初に『HUNTER×HUNTER』とはどのような漫画なのか。概要を見ていきます。

『HUNTER×HUNTER』の主人公はゴン=フリークスという少年です。ゴンはくじら島という孤島で暮らし、父親・ジンは死亡したと聞かされ、ミトという義母によって育てられていました。しかし、ひょんなことから父親・ジンが世界有数のプロハンターであり、現在も生存している事実を知ることになります。そこでゴンは父親のジンに会いに行くため同じくプロハンターを目指すものの、そのハンター試験を受験するだけでも至難の業です。しかし、この過程でゴンは作中のキーパーソンになるキルアやクラピカ、レオリオといった仲間たちと出会うことになります。そして、ゴンは仲間たちと共に様々な困難に立ち向かうことになります。果たしてゴンはプロハンターになれるのでしょうか?父親であるジンに無事会うことはできるのでしょうか?ハンターハンターの内容とは、ゴンがハンターを目指すストーリーです。その後、どんどん派生し、内容も面白くなっていきます。

面白さ①物語の伏線

今作品は伏線の張り方が非常に話題になります。『HUNTER×HUNTER』は伏線を堂々と張ってるのが面白いんです。ハンターハンター14巻でグリードアイランド編の「ニッグ(NIGG)」が好例とされています。読者の目の前にはっきり表示されていたのに、この伏線に誰も気付かないのです。むしろ、堂々と置かれてるからこそ読者が気付かなったとさえ言われています。読者なら誰もが伏線を明かされた時に驚愕したはずです。しかも、その伏線が読者を騙す引っ掛けだけでなく、次の展開へと繋がる仕掛けになってるのがすごいのです。

グリードアイランド編→キメラアント編→暗黒大陸編にそれぞれのラストが次に繋がる壮大な伏線が隠されてるのです。グリードアイランド編だとNIGGやアカンパニーという魔法、キメラアント編はキメラアントそのものが次のストーリーの大きな前フリになっています。

だから、作者・冨樫義博はプロット力は天才的であり、ストーリー構成力に誰もが目が引くに違いないのではないでしょうか。話の動線の作り方や誘導の仕方が巧みで、もちろん全部が全部面白いというとハードルは上がるものの、少なくともクオリティの高さは少年漫画誌の漫画ではないのではとまで思ってしまいます。

面白さ②バトル描写

少年誌ということもあってバトル描写は非常に魅力的です。過去には「幽遊白書」も書いている作者の冨樫先生なので、そのバトル描写はお墨付きですし、見入ってしまいます。今作は単なる「殴り合い」漫画ではなく作中特有の「念能力」を使います。その描写も非常に面白いです。非常に見やすいバトル描写なんです。どんなタイミングで反撃を狙っているのか、相手がどのように見えているのか、どう考えているのかなどよくよく見るとそれらが見やすく描かれているのです。

面白さ③変則的構図

読み出して気づく人はすぐに気づくのですが、今作は「構図」がワンパターンではないのです。

色んな角度からキャラクターや状況を表現するから、バトル描写に「飽き」が来ないのです。画力に長けた人でも苦手な構図や好きな角度やアングルがあると思います。連載を続けてると、長期漫画はワンパターンな画や構図になりがちなように思います。この『ハンターハンター』では構図のセンスがバトルにふんだんに活用されていて、要所要所で光る構図を見せてくれるんです。ある描写では魚眼レンズのような描写で奥行き感が表現されていて手前に配置されている人は非常に大きく見えます。それがそのままの強さを対比しているように感じました。また、コマからキャラクターがはみ出してるようなコマ割りも特徴的です。どうしても「漫画はコマの中にキャラクターを収める」と考えてる人は少なくないと思います。ただ『ハンターハンター』は真逆で、そのことで「窮屈感」が薄く、漫画の躍動感が非常に高く感じます。

面白さ④念能力

前述もしましたが、今作品での特徴的な描写である「念能力」です。キャラクター各々違う能力を持ち、戦う際に「相性」も関係します。また、その念能力の演出効果が抜群に感じます。漫画上では念能力の名前が漢字表記と、読み仮名で2つ表記されています。漢字表記でよりイメージしやすくなり読みやすくなります。

面白さ⑤キャラクターの心理描写

作者・冨樫義博先生はキャラクター描写がとても上手いです。キャラクターの表情一つにしても、キャラの目線がどこに向いてるかなどが一目瞭然です。当たり前のようですが、キャラの向きや位置が視覚的に分かりやすくなるだけで、次の展開や会話の流れを読者はスラスラっと読めます。個人的意見になってしまいますが、これ、意外とできてる漫画家が少ないように思います。そして、『ハンターハンター』はキャラクターの心理描写も実に巧みです。キャラクターの肉付けが上手いから面白いのです。『ハンターハンター』は緊張感ある駆け引きばかりではなく、キャラクター描写が豊かだからこそ、非常に感動的なシーンも少なくない点もおすすめなのです。ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、この漫画を読んでいて、キャラクター描写で涙した人も少なくないのではないでしょうか。キャラクターの相関関係や心理描写を巧みに展開の中で生かしており、そのことで敵や味方同士の内部対立が起きたり、逆に融和が起きたりと本当にどんどん引き込まれていきます。

まとめ

個人的な意見も多くなってしまいましたが、これだけの面白さがある作品『HUNTER×HUNTER』。長期休載していても忘れられることがなく、待ち続けられている作品なのだと思います。今回約4年ぶりの連載再開となりましたが作者である冨樫義博先生には無理せず、書き続けていただきたい作品です。